名古屋市立大学は、1980年から継続してきた習慣流産研究の実績を評価され、2015年に、文部科学省から「不育症・ヒト生殖メカニズム解明のための共同研究拠点」の認定を受けました。日本初の不育症共同研究拠点が設立されました。
また、本学の研究成果をまとめた教科書「エビデンスに基づいた不育症・習慣流産の診療」は、本ホームページよりもさらに詳細な情報が掲載してありますのでご覧ください(文献1)。
不育症Recurrent Pregnancy Loss (RPL)とは「流産あるいは死産が2回以上ある状態」と定義されます(日本不育症学会、日本産科婦人科学会用語集2025)。3回以上連続する流産を習慣流産Recurrent Miscarriage (RM)といい不育症に含まれます。欧州・米国生殖医学会/ WHOもRPLをtwo or more pregnancy lossesと定義しています。 つまり、原因がどうであれ、2回以上流産していれば不育症です。
欧州生殖医学会European Society of Human Reproduction and Embryology (ESHRE)は世界で初めて系統レビューによるRPLのガイドラインを策定し、改訂を続けています(文献2)。本学の論文が13篇引用されており、外部委員としてレビューを務めました。また、2021年には英国の有名な医学雑誌LANCET series “Miscarriage” 1~3が発表され、私も著者に加わりました(文献3)。
私たち大人が癌や脳梗塞などのいろいろな病気で死亡するのと同じように胎児もいろいろな病気で亡くなります。不育症・習慣流産もいろいろな原因によって起こります。まだ分からないことが多く、そのために研究分野であり、産婦人科医師によっても説明が異なり不安になることも多いと思われます。みなさんにこの病気を理解していただくために名古屋市立大学を受診された不育症患者さんから得られたデータに基づく研究成果を掲載しました。すべて、医学雑誌の厳しい審査を経てエビデンスとなった情報です。不育症・習慣流産は決して絶望的ではなく85%以上の患者さんが出産にいたっています。残念ながら流産を繰り返した患者さんが流産を避けることは困難です。流産と向き合いながら、出産を目指すことが大切です。
