抗リン脂質抗体症候群の治療

流死産予防としては低用量アスピリン・ヘパリン療法が標準的治療法であり、生児獲得率は70-80%です (文献23, 24)。基礎体温から正確に妊娠週数を計算し、妊娠4週から低用量アスピリン内服(バファリン81mg®もしくはバイアスピリン®)とヘパリン注射を開始し、妊娠36週0日でアスピリンを中止、ヘパリンは分娩の3-6時間前まで持続する方法を行っています。トレーニングをしていただくとヘパリンの自己注射は難しくありません(図5)。

図5:低用量アスピリン+ヘパリン自己注射

抗リン脂質抗体症候群の国際学会の診断基準を満たす場合には、抗リン脂質抗体症候群合併妊娠の適用によって妊娠中のヘパリン自己注射が保険適用されています。この治療が本当に必要な人は不育症の中でもさほど多くはありません。診断基準を満たしていない人は保険が効きません。12週間待つのは大変ですが、診断基準を満たすかどうかは重要なので再検査をお薦めします。

診断基準を満たさない場合、つまり抗リン脂質抗体が陽性だったけど12週間後に陰性になった偶発例では、流産予防が必要かどうかを調べてみました(文献25)。アスピリン単独投与群と薬なし50.0% (8/16)を比較するとアスピリン投与群の生児獲得率84.6% (44/52)の方が高いことが明らかとなりました。しかし、このような報告はまだ欧米ではないため、再検討が必要です。